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エロ広告を規制したくない人たちはワンチームなのか

 以前、エロ広告関連企業としてひとまとめにリストアップしたが、広告主と、仲介企業と、掲載サイトに関してはそれぞれ目的が異なるということを認識した上で異なるアプローチをとる必要がある。   掲載サイトに関しては、情報をユーザーに提供するかわりに広告を掲載することでお金を稼ぐという目的があるため、YouTubeのプレミアム料金などのように、広告を見るか広告を見ないかわりにお金を払うようにするか選べるスタイルにしてもらう、というのであれば、エロ広告を規制してくれ!と漠然と訴えるよりも現実的だろう。  広告主にとっては自社の漫画やゲームなどの作品を知ってもらう、ということが目的であるが、電子書籍企業がなぜエロ漫画を載せたがるのかはまだ把握できていない。電子書籍企業に関しては広告に出す漫画の選定基準を改善してもらう、というのが良いだろう。  仲介企業に関しては、ここの努力だけでエロ広告を出さないようにするのは難しいかも知れないが、この仲介企業がどんな広告をどんなサイトに表示させるか調整できるのであれば、適材適所な広告選定をお願いしていきたい。  こうして考えてみて改めて思ったのは「表現の自由」がこの規制の壁と思われているふしがあるが、これらの企業たちは決して表現の自由のためにエロ広告を出しているわけではないということだ。  一律にエロ広告を出すな!と一方的に責め立てるのではなく、エロ広告が出ている理由を整理してその解決策を考えていきたい。

エロ広告が嫌なら広告ブロッカーを使えばいい?

 エロ広告を出している企業側、あるいはそれを守りたい人たちが「嫌な人は見なければいい」と広告ブロッカーをすすめることは諸刃の剣だ。  まだ実装はされていないが、 Safari 経由の全ての広告を半永久的にブロックすることが可能となる広告ブロック機能がすでに開発されている。 https://www.infocubic.co.jp/blog/archives/16625/ https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/casestudy/00012/01476/  ゾーニングすることはエロ広告関連企業にとって損失だからどう補填するのか、というが、その代替案として広告ブロッカーをすすめる場合、エロ広告関連企業も含む多くの企業に損失を与えることになる。広告収入によりユーザーが無料でインターネットを利用できる、という現在のシステム自体の崩壊につながる可能性がある。  ある調査によると広告ブロッカー使用の理由として、 自分に関係のない広告 ‐ 39.2% 不適切なコンテンツが表示されるのを避けたい ‐ 38.1%  https://www.infocubic.co.jp/blog/archives/16625/ とある。広告ブロッカーを利用する人全員がすべての広告を排除したいのではなく、一部の広告に対するネガティブな感情から広告ブロッカーを利用しているケースが存在する。  つまり、一部の広告企業により、すべての広告企業が損失を受けている可能性がある。  日本インタラクティブ広告協会のアンケートでは、インターネット広告に対してユーザーが「お得情報を得られる」「思いがけない商品と出会える」など“良い体験”と感じることも多いことがわかる。 https://www.jiaa.org/news/release/20240926_user_chosa/  モラルや倫理の欠如した広告により多くの人が広告ブロッカーを使うようになれば、広告の本来の役割(ユーザーにとっては知らなかった商品と出会える、お得情報を得られるなど 広告主にとっては自社の製品を知ってもらい購入してもらえる機会を作れる)が失われてしまう。  エロ広告に限らずだが、広告企業が法律ではなくモラル・倫理の観点において今一度自社の広告を見直し、またターゲティング制度を向上させる努力をすることで、ユー...

エロ広告が出るのは普段エロを見ているから?

 エロいもの見てるからエロ広告が出てくるんだ、というのはリターゲティング広告と呼ばれるもので、過去の履歴に基づくターゲティング広告の1種。ターゲティング広告の種類は他にもいくつかあるので、エロ広告が出る人はエロを普段見ている人、という理論は必ずしも成立しない。  これにはサードパーティーcookieというものが関与しており、閲覧履歴や行動履歴含むデータが訪れたページ以外で利用される。これによりサイトをまたいで個人に応じた広告を出せるが、近年個人情報保護の観点から規制が進んでいる。  特にSafariでは2020年より完全にブロックされており、リターゲティング広告の配信が規制されている。GoogleChromeでも2024年後半から順次廃止予定。

これまでの活動

11/17時点  ※JIAA:日本インタラクティブ広告協会 (インターネット上の性的な広告の規制を求める会のメンバーが行ったことも含む) ◆問題を表面化させるための活動 ・全国紙新聞社に今回の活動をとりあげていただけるようお願い ・NHKに今回の活動をとりあげていただけるようお願い ・CNN、BBC(海外メディア)に日本のインターネット広告の異常性についてとりあげていただけるようお願い ・ABEMA(以前NEWSで性的な広告の規制に関する取り扱いあり)に今回の活動をとりあげていただけるようお願い ・以前性的な広告の規制について記事を書かれていた記者さんやXで投稿されていた著名人の方に協力のお願い ◆自主規制を求める活動(企業にメール/問い合わせ欄で自主規制のお願い) 電子書籍(返信あり) ・コミックシーモア(NTTソルマーレ株式会社) ・めちゃコミック(株式会社アムタス) ・Renta!(株式会社パピレス) ・レジンコミックス(株式会社レジンエンタテインメント) 電子書籍(返信なし) ・コミックDAYS(講談社※JIAA会員) ・まんが王国(株式会社ビーグリー 日本テレビホールディングスの関連会社) ・コミックフェスタ(株式会社ウェイブ) ・DLsite(株式会社エイシス ゲオホールディングスの関連会社) ・TOPTOON(株式会社TOPCO JAPAN) ・FANZA(株式会社デジタルコマース DMM.comの関連会社) ゲーム攻略サイト(返信なし) ・Game8(株式会社ゲームエイト) ・アルテマ・ゴリラWiki(株式会社コレックHD) ・AppMedia(AppMedia株式会社) 広告会社(返信なし) Zucks、Criteo、ユナイテッドマーケティングテクノロジーズ株式会社 その他サイト(返信なし) ・ちそう(株式会社KOMAINU) ・NAPBIZブログ(NAPBIZ) ・ピクシブ百科事典(ピクシブ株式会社) ◆関連機構への相談 ・日本インタラクティブ広告協会に性的な広告規制に向けて協力のお願い ・JARO(日本広告審査機構)に性的な広告に対する苦情と規制に向けて協力の依頼 ・国連女性機関(以前月曜日のたわわ広告に抗議文を出された機関)に日本のインターネット広告の異常性についてとりあげていただけるようお願い ・国際協力NGOジョイセフに「性と生殖に関する...

性的な広告の規制に関するこれまでのムーブメント

 性的な広告の規制に関するこれまでのムーブメントとして、 昨年7月にX上で著名人の方が#をつけて呼びかける→自民党議員が この件に関して動くと表明する、同月にABEMAでとりあげられる 今年9月にこども家庭庁がXに投稿したポストに性的な広告の規制を求める多くの声が寄せられる→そのことが新聞の記事になる などがありました。しかし、一定の盛り上がりを見せたものの、「知る人ぞ知る」活動にとどまり、結局はなかったことにされてしまいかわりない現状が続いています。  私もこの活動をはじめるまでそういったムーブメントがあったことを知らずに過ごしていました。  規制をしたくない側にとっては、問題だと思っている人がたくさんいるんだということが公にならなければスルーできると考えているかも知れません。    インターネット上の性的な広告の規制(ゾーニング)の実現に向けて何より大切なことは、これを問題だと思っている人がたくさんいるんだということが表面化すること 多くの国民の知るところとなること だと思っています。  SNSをよく利用するようなインターネットのヘビーユーザーだけではなく、情報源はテレビや新聞、といった層にもこういった問題があることに気がついてもらいたい。  そのためには、テレビや新聞といったより公共性の高いメディアにとりあげてもらうことが非常に重要だと考えています。  

この活動で戦う相手とは

 この署名活動は性的な漫画やゲーム作品自体の規制を求めるものではなく、すみ分け/ゾーニングの必要性を訴えたものです。  レンタルビデオ店や書店でも、18禁コーナーは区切られて隠されていると思いますが、現在のインターネット環境は、店の入り口を入ってすぐのところに性的な書籍やビデオが陳列されているようなものです。  これを、表現の自由や経済活動という理由で放置している国で良いのでしょうか?  性的な広告が無選別に表示される現在のインターネット環境は、表現の自由(の名を借りた全く別のもの)のみが尊重されてしまっている状態です。  適切にゾーニングをすることで、作品自体の表現の自由を損なうことなく、こどもが偏った性知識にさらされないこと、性的なものを見たくない人が(見たくない時に)見ないですむこと、性的な広告に暴露されずに調べたいことを調べられること、一部の性的な作品がこどもや女性の人権侵害だと感じる人が心を乱すものに接しなくてすむこと、広告ブロッカーによって必要以上に広告の機会を失っている非性的な広告たちなど、表現の自由の名のもとに侵害されている多くのことに配慮し、最大多数の最大幸福を実現できると考えています。 (本来表現の自由を含む個人の権利を唯一制約する根拠となる、「公共の福祉」です。) 衆議院「公共の福祉(特に、表現の自由や学問 の自由との調整)」に関する基礎的資料https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/chosa/shukenshi046.pdf/$File/shukenshi046.pdf  ここまで、今回の問題の前に立ちはだかっている(と多くの方に誤解されている)表現の自由と規制の話をしてきましたが、それらの問題は非常に奥深く、様々な考えの人がいて当然です。  ただし、インターネット上で性的な作品の広告が無選別に垂れ流されていることは全く別の問題で、表現の自由という崇高な問題と混同して難しい話にするのはナンセンスだと思っています。  インターネット上の性的な広告をゾーニングすることが表現の自由の侵害になるか、という点については、現在性的な広告/作品が適切にゾーニングされているテレビ・新聞などのメディアや公共交通機関での広告、18禁コーナーがあるレンタルビデオ店に対して、表現の...

性的な広告の規制に関する現状と目標

 現在性的な広告については法的な規制がなく、各業界の自主規制にゆだねられています。  テレビや新聞、公共交通機関の広告などに関しては国から規制されなくとも、それぞれが広告の掲載基準を作成しきちんと自主規制がなされており、こどもを含む誰にでも性的な広告を見せつけられることはありません。(以下参考資料) 日本民間放送連盟 放送基準:https://j-ba.or.jp/category/broadcasting/jba101032 新聞広告倫理綱領/新聞広告掲載基準:https://www.pressnet.or.jp/outline/advertisement/ 公益社団法人日本鉄道広告協会掲出基準:https://www.j-jafra.jp/standard/02.html 関東交通広告協議会 広告掲出審査基準:https://www.train-media.net/rule.html  なぜかインターネット広告の規制に関してのみ新たな問題かのように、表現の自由や経済活動の自由なので規制は難しい、という意見が聞かれますが、単純にテレビや新聞などのより公共性の高い広告媒体と比べてインターネット上は自主規制の基準がゆる過ぎる、ということがこの問題のすべてです。  つまり、インターネット広告業界は性的な広告の自主規制の基準をテレビや新聞レベルまで上げてください、ということです。  そのために新たに組合などを作るのではなく、既存の広告審査機構 JARO(https://www.jaro.or.jp)やインターネット広告に関わる企業の組合 日本インタラクティブ広告協会(https://www.jiaa.orghttps://x.com/kagawakyo)に、形骸化している素晴らしいガイドラインを見直し、きちんと審査して不適格な場合は規制を求める勧告を出すなどの対応をしてもらいたいと思っています。  国に求めることは、直接作品の良し悪しを判断すること(言論統制や表現の自由の侵害につながるとのご意見がある)ではなく、現在個々の企業にゆだねられているインターネット広告の自主規制のレベルを、テレビや新聞などのより公共性の高い広告媒体と同レベルまで引き上げるように勧告を出すなど働きかけてもらうことです。  つまりは自主規制にゆだねられているという点はかえることなく(インターネット上...